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2009年3月 2日 (月)

スポーツの変 夢とカネ その2

現在、中日新聞のスポーツ面で、『スポーツの変 夢とカネ』という特集が組まれています。(2月21日より連日掲載。)

今回は第2弾としてシリーズ5回~8回の記事を抜粋します。

5.プロへの道(フットサルFリーグ 名古屋オーシャンズ)

新たな夢の扉をたたいた。国内唯一のプロフットサルチーム、Fリーグの名古屋オーシャンズ入りを果たした。
『Jリーグに行きたいと思ったけど、声が掛からなかった。』正式入団する4月以降の契約はアマチュアだが、プロ契約を目指して奮闘している。身長163cmと小柄だが全国高校サッカーではチーム8強入りに貢献。高校サッカーの好素材が、いきなり本格的フットサルの世界に飛び込むのは極めてまれ。チームでも初のケース。『今後の道筋をつけるため、モデルケースにしたい。』と歓迎する。
当然だろう。サッカーで大成できなかった選手で形成する“すきま産業”と見られてきたからだ。2シーズンを終えたFリーグは、まだ『サッカー界の負け組』を払拭できないでいる。サッカーからの転身は業界の光明にちがいない。オーシャンズの年棒は主力選手で700-800万円程度。成功すればサッカーJ2平均年棒の650万円を上回る。
『好きなことをやってお金がもらえるプロの仕事に魅力があった。将来は日本代表になって、ブラジルかスペインでもプレーしたい。』
メジャー競技のプロが高望みだとしても、マイナー競技でトップを極めれば生計が成り立つかもしれない。
身の丈に合わせた目標が夢なのか、届かぬ憧れを夢と呼ぶのか。

日本フットサル連盟の登録競技者は13万人。サッカーの90万人には及ばないが、未登録愛好者を含めれば200万人を超えるといわれる。その頂点に君臨するFリーグは、身長170cm以下の選手がどのチームにも4-11人在籍。Jリーグではハンディとなりかねない体格でも、トッププロになれる確率は高い。ただ、新たなモデルケースとして成功の道筋がつけば、後に続く選手は増えるに違いない。押し寄せる淘汰の荒波。
プロの仕事をカネで計り続ける限り、再び夢の縮小を強いられるかもしれない。

6.バスケのプロ化(バスケットボールbjリーグ 浜松・東三河フェニックス)

『見る者に感動を与えられなければプロではない。』指揮官の怒声が勝利の余韻を打ち消した。『私たちはお格さんのお金でバスケをやらせてもらっているのだから。』
プロ、お金、お客さん。繰り返した言葉だった。プロの名に恥じない戦いを誓うからこそ、集中力を欠く内容が満足できなかった。
日本バスケットボール協会もJBLのプロ化を目指していたはずだった。しかし、年俸の高騰などの運営費増大するプロ化に福利厚生や広告宣伝と位置づける企業の論理が壁となる。2005年春、1部チームが脱退し発足したのがbjだった。代償は大きかった。協会と断絶状態になったbj所属選手の代表への道は断たれた。トップの推定年俸2000万円以上のJBLに対し、1チームの年俸制限が7200万円のbj。主力の多くがチームを去った。大企業母体の豊かなアマと独立採算の貧しいプロ。
ねじれの構図が日本バスケ界の矛盾を如実に表す。
それでも、『外国人枠の制限のないbjで日本選手は生き残りに必死。外国人との競争に勝てる選手の育成こそ、日本バスケ界の強化に直結する。』初年度は赤字ながらJBL当時より収支は1億円以上改善した。集客も会社ぐるみの動員ではなく、地元ファン中心。『これからが本当の勝負。』
分裂が続くバスケ界にも新たな動きが芽生えている。JBLとbjの関係正常化への試みが始まった。協議難航は予想されるが、自らの選択を正しいと信じる根拠はある。チーム母体の幹部に打ち明けられた。
『プロ化が1年遅れたら今ごろフェニックスは消えていた。』

7.ゲーム感覚のクラブ(サッカー静岡県リーグ 藤枝ネルソン)
喜々としてサッカーを語るオーナーたち。インターネットの掲示板ですでに戦術の議論が始まっていた。ただし、ボールをけるのはネット上の架空の選手ではない。インターネット登録した会員がプロサッカークラブのオーナーとなる『藤枝MYFC』。オーナーの投票で先発メンバーや戦術などチームのあらゆる面を決めていく。
『みんなが民主的にクラブを育てていける。ゲーム感覚で楽しんで欲しい。』テレビゲーム世代がターゲットだ。
プロサッカークラブの運営を模擬体験するゲームソフトが爆発的な人気を集めている。そんなファンの夢を形にしたクラブと言える。母体は静岡県リーグ1部の藤岡ネルソン。3年後のJリーグ昇格を目指す。ファン参加型の新たなスポーツ経営の運用を始めた。現在のオーナーは4000人。登録無料期間を経て年会費1万円程度の有料化へ移行する。初年度は1500-3000人を見込む。しかし、選手はアマチュア。夜間に数人で練習するのが精一杯のレベル。判断材料となる選手のコンディションをどこまで伝えられるか?好みだけではファン投票のオールスター戦と化す。
不況の今、投票権と引き換えにカネを集めるユニークな経営術は有効かもしれない。しかし、あるサッカー解説者『戦術は素人の世界で楽しめばいい。人間がやっていることを忘れている。』とくぎを刺す。
本当の勝負を左右するのは、選手や監督が極限の状況下で導き出す決断。日本代表の岡田監督もよく言うが、戦術に政界不正解はなく、監督は考え抜いた末に最後は勘に頼る。みんなの意見を取り入れていてはできない。ゲーム感覚のオーナーによる過度の口出しは危うさをはらむ。

8.BCリーグ(野球BCリーグ 信濃グランセローズ)

雪が降りつもる2月下旬の長野県中野市。プロ野球独立リーグ『BCリーグ』所属の信濃グランセローズの練習が続く。月給は一律15万円。遠征は日帰り強行軍。無給のオフは球団が紹介する工場勤めなどで日々をしのぐ。地元飲食店が振舞う半額、大盛り、お代わり自由の定食で腹を満たし、後援者が差し入れる米、そば、リンゴ、まんじゅうに歓喜する。『プロとして自尊心や目的意識は保てるのか。』周囲の疑問に、『野球のための貧しさに耐えられない選手が、厳しいNPB(日本プロ野球機構)の世界で大成出来るはずがない。』毎年30人枠のうち1/3が入れ替わる。
不況の渦中で続く企業スポーツの廃止。野球も例外ではない。米球界を巻き込んで巨額のカネが飛び交うNPBの影で社会人野球の衰退が止まらない。その一方で設立が相次ぐ独立リーグ。地域が企業に代わる受け皿になれるのか、各独立リーグの成否が試金石となる。赤字経営が常態化する中、共倒れや選手のレベル低下への懸念は否定できない。
今季から月給を10万円に引き下げ、成績に応じて最高で40万円まで上乗せさせる制度を導入する。
『働きたくても働けない人があふれている時代に、好きな野球を仕事に出来ることだけで幸せ。』
という選手の姿は、金銭では測れないスポーツ本来の価値を示す。

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